フォント&書体でわかる デザイナーの良し悪し

編集歴10年の中堅編集者です。
広告制作会社に勤めているため、多くの広告デザイン、情報誌などを制作し田中で、さまざまなフォント&書体を目にしてきました。

フォントは時代をうつす鏡ですね。
やはり10年前に入社したときとは、使われているフォントはまったく別ものです。

そんな私も編集者になるまでは、世の中のフォントなぞ気にしたこともなかった私が、今ではどこに行っても、どこの作品を見てもフォントが気になるようになってしまいました。

デザイナーにとって、好きなフォントの話は、飲み屋でも話題になるくらい大切なもの。
「これなんのフォントでしょう?」というクイズを飲み屋でしているのがデザイナーという生き物です(笑)。

そのクイズに参加できるほど、フォントへの理解はないものの、編集者としてはできるデザイナーは「フォント選びで見分ける」と言っても過言でないほど、フォント選びは重要なクリエイディブ要素です。

どれだけ、記事に合ったフォントを探せるのか、記事の内容を理解できているのか、理解力が高い人なのかをフォントを見ればすぐに把握できます。

編集者というのは、自分にとってよい仕事をしてくれる人を選んで仕事ができる職種です。いいデザイナー、ライター、イラストレーター、カメラマン、スタイリスト、ヘアメイク。すべて私が手配するわけです。
要するに、デザイナーも私はしっかり選びます。
そうでないと、自分の仕事が次々とつながっていかないので。

こまごまとしたデザインのあしらいを「ここ工夫したんです」というデザイナーもいます。でも、「重要なのはそこではないのでは?」。私はそう思うのです。

文字というのは、記事で大きな要素を占めています。また、デザインやフォントをたいして見ていない読者ですら、文字は見るわけで、その文字の裏には選び抜かれたフォントがあるのです。

いかにフォントという大きな要素を占めるところに、注力してデザインできているかが私がデザイナーのスキルを感じる大きな要素です。

ただ、大変ですよね。
昔はこれほどフォントの数もなかったので、探す必要がなかった。
しかしそれでも効率的によいフォントを探し出せているデザイナーこそ、時間内にいい仕事ができる人で、有能だと感じます。

いいフォントを素早く効率的に探し出すコツ。
それは、日々の生活の中で見たフォントをストックすることにあると思います。

「このフォント何ですか?」と聞いて、その広告とともに名称をメモしてフォルダに入れておく。空き時間にはいいフォントの広告を探す。
ポスターなどで見たフォントを時間のある日に探してメモしておく。

結局仕事のできる人は、こういった好きなフォント&書体の整理を上手に行っている人だと私は感じています。